すべての男は消耗品である Vol.2::村上龍
「あたしね、いやなことと、似合わないことは絶対にしないの」
都市には快楽が渦巻いている。
その渦に一生触れることなく死んでいく連中がいて、そういうのが無理して楽しんでるフリをしてもうっとうしいだけなのだ。
こんな八方塞の時代に、無意味に元気なやつはアホだ。
何が最高かといって、ステキだと自分で思ったものを正直にステキだと思い、徹底的にそれを実行したからだ。
速いものは、みな美しいのである。
それを理解しない男とは、付き合いたくない。
初老の男は、自信なさそうだった、それだけで十分だ。
どんないい女を連れていても自信なさそうだったら
うらやましがられることはない。
(中略)
自信というのは何によって成立しているのだろうか?
(中略)
一番大切なのは、自分で自分を認め、それが一人よがりになっていないことだと思う。
全体のレベルが上がっても本当は何にもならない。圧倒的な個人が現れなくては、誰もわかってくれないのである。
輝くということは、ただちょっと偶然に出会って立ち話をしたような他人にも元気を与えるということだ。
自らをボロボロにしても、自分の中の欲望を飼いならしたりしない。
休息は良くない。かえって疲労する。次の目標を設定した方がいいのだ。
日本のことに無知なほうが精神的に健康でいられる。
千本ノックは果たして、楽しいだろうか?千本ノックは、千人の優秀な野球選手を生むかもしれないが、スーパースターも育てるだろうか?
千本ノックが、自己満足の手段になる危険性はないだろうか?